国際頭痛分類第3版beta版(ICHD-3 β)では,これまでの「脳底型片頭痛」が「脳幹性前兆を伴う片頭痛」に変更され,付録に「前庭性片頭痛(Vestibular migraine)」が掲載された.

片頭痛発作に,回転性あるいは非回転性のめまいを伴うケースをしばしば経験する.頭痛外来(神経内科/脳神経外科外来)でみる片頭痛患者がめまいを強く訴えることはそれほど多くないが,丁寧に問診するとかなりの患者がめまいを感じている.

1990年代には片頭痛とめまいの関連を指摘する論文が多く発表されたが,疾患概念や名称は多様であった.前庭性片頭痛のほか,片頭痛性めまい(migrainous vertigo),片頭痛関連めまい(migraine-associated vertigo/dizziness)なども提唱されていた.めまいを脳幹/脳底部の一過性神経徴候(前兆)ととらえると,脳幹性前兆を伴う片頭痛と診断できる場合もある.


※本企画はテーマに対して,あえて一方の見地に立った場合の議論であり,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません.


・総論/竹島多賀夫

前庭性片頭痛は脳幹性前兆を伴う片頭痛と同一である/五島史行

前庭性片頭痛は脳幹性前兆を伴う片頭痛と同一ではない/工藤雅子

総括/竹島多賀夫