抗リウマチ薬としてのメトトレキサートの普及と多くの生物学的製剤の登場により,関節リウマチ(RA)の関節破壊を制御することが可能となりつつあり,早期治療の必要性とともに,RA治療の目標として「寛解」が明確に掲げられるようになってきた.目標の達成に向けた治療(Treat to Target)の治療戦略でも,この「臨床的寛解」の達成に向けての日常診療における治療方針決定には,関節所見を含む総合的疾患活動性指標を用いて評価することが推奨されている.


しかし,広く使われているDAS28で寛解基準を達成しても関節破壊が進行する症例はあり,適正な達成目標としての寛解基準とはいえないことが指摘されている.これらのことを背景に,2010年に米国リウマチ学会(ACR)と欧州リウマチ連盟(EULAR)が共同で新しい寛解基準を作成した.ここで,SDAIやCDAIなどの別の総合的疾患活動性指標の重要性が浮かび上がってきた.しかし,これらを用いた基準が,本当に骨破壊の進行が抑制される「画像的寛解」,身体的機能が改善する「機能的寛解」,さらに投薬を中止しても寛解が維持される「薬剤フリー寛解」を保証するかはまだわかっていない.

本ディベートでは,SDAI,CDAIとDAS28に分かれて,寛解に対する指標としての特徴を議論していただきたい.




東京大学大学院医学系研究科内科学専攻

アレルギーリウマチ学教授

山本一彦 Yamamoto Kazuhiko


・総論/山本一彦

DEBATE 1 CDAI,SDAI/田中榮一

DEBATE 2 DAS28/松井利浩

コメント/山本一彦