目標達成に向けた治療「Treat to Target;T2T」戦略によって,臨床的寛解を治療目標とすることがコンセンサスとなった.一方,リスク・ベネフィットを考慮し,合併症を有する例,長期罹患症例では,代替的治療目標として低疾患活動性を設定することも同時に示された.この目標に向かって,疾患活動性を評価し,3ヵ月ごとに治療を見直す.
このような明確なアルゴリズムが示されるなかで,これまでわが国においては,原則としてMTXを含むDMARDs(インフリキシマブの場合のみMTX併用)を3ヵ月間使用し,効果不十分の場合,生物学的製剤を使用することがガイドラインで定められてきた.2012年7月,既存治療のない場合でも,疾患活動性が高い症例では,予後不良因子など条件を満たせば,MTXと併用のもとTNF阻害薬を使用することが可能となった.
発症早期の高疾患活動性RAにおいては,関節破壊の進行が早いという認識を踏まえ,このような症例に対する治療をどのように行うべきか,今,議論が必要となっている.
竹内 勤 Takeuchi Tsutomu
慶應義塾大学医学部リウマチ内科教授
・総論/竹内勤