書籍
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2023.10.26 発売
てんかん症候群 診断と治療の手引き
定価 4,950円(本体4,500円+税)
判型 B5判
ISBN 978-4-7792-2740-0
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内容紹介

てんかん発作を主徴とする臨床病態のなかには,ピクノレプシー(現在の小児欠神てんかん)や一部の進行性ミオクローヌスてんかんのように,臨床所見や経過に比較的まとまりのあるグループがいくつかあることが以前から知られていた。検査機器が進歩し,抗てんかん発作薬が開発されると,症状や検査所見の特有のまとまりが治療効果や経過とも関連する場合があることがわかり,より詳細なグループ化が行われるようになった。臨床場面では治療の選択や経過の見積もりが重要であるため,このグループ診断は重宝された。これがてんかん症候群であり,その知識と経験の蓄積が1984 年に出版された書籍『乳児・小児・青年期のてんかん症候群』および1985 年の国際抗てんかん連盟(International League Against Epilepsy:ILAE)の「てんかんおよびてんかん症候群の国際分類」1)の提唱につながった。書籍は2019 年に第6版が出版され2),国際分類では2022 年にてんかん症候群が新たに見直され,定義・分類された3)。

てんかん症候群は,臨床的・脳波的諸徴候の特徴的なクラスターを示し,特殊な病因(構造,素因,代謝,免疫,感染)に由来する所見を伴うことが多く,しばしば予後や治療に示唆を与え,年齢依存的に発症し,一連の特徴的な併存症を有することもある3)。症候群には特定の病因が明らかにされているものや,病因が未知のもの,複数の病因によるものもある。最近は病因遺伝子の特定が相次いでいる。現在,約40 のてんかん症候群があげられているが,今後,病因研究のさらなる進展とともに,その数が増えていくことが予想される。

てんかん症候群は,てんかん病型の下位診断である。てんかん病型は,2017 年ILAE 分類4)では,焦点てんかん,全般てんかん,全般焦点合併てんかん,病型不明てんかんに分けられており,これは発作型分類(焦点起始発作,全般起始発作,起始不明発作)に基づく分類である。しかしこの段階では経過や予後を推定することはできない。したがって実用的にはさらに症候群診断を行うことが望まれる。症候群が臨床的に有用なのは,症候群特異的な治療薬剤(例えば,ドラベ症候群のスチリペントール)が近年登場していることからもうかがえる。精密医療に最も近いアプローチは,今のところ症候群といえる。今後,症候群診断ができないために病型診断にとどまらざるを得ない症例が減少していくことが期待される。

(井上有史/赤松直樹「序」より一部抜粋)

目次

第1章 新生児期/乳児期発症のてんかん症候群

1.自然終息性(家族性)新生児てんかん

2.自然終息性家族性新生児乳児てんかん

3.自然終息性(家族性)乳児てんかん

4.早期ミオクロニー脳症

5.大田原症候群

6.アイカルディ症候群

7.乳児てんかん性スパズム症候群

8.ドラベ症候群

9.乳児ミオクロニーてんかん

10.遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん

11.非進行性疾患のミオクロニー脳症

12.素因性てんかん熱性けいれんプラス


第2章 小児期発症のてんかん症候群

1.ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん

2.レノックス・ガストー症候群

3.小児欠神てんかん

4.ミオクロニー欠神発作を伴うてんかん

5.眼瞼ミオクロニーを伴うてんかん

6.自律神経発作を伴う自然終息性てんかん

7.小児後頭視覚てんかん

8.中心側頭部棘波を示す自然終息性てんかん

9.睡眠時棘徐波活性化を示すてんかん性脳症

10.ランドウ・クレフナー症候群

11.片側けいれん・片麻痺・てんかん症候群

12.家族性焦点てんかん


第3章 青年期/成人期発症のてんかん症候群

1.若年欠神てんかん

2.若年ミオクロニーてんかん

3.全般強直間代発作のみを示すてんかん

4.高齢発症てんかん


第4章 年齢に依存しないてんかん症候群

1.進行性ミオクローヌスてんかん

2.特異な発作誘発様態を持つてんかん

3.海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん

4.睡眠関連運動亢進てんかん

5.聴覚症状を伴うてんかん


第5章 皮質形成異常によるてんかん

1.総論

2.片側巨脳症

3.限局性皮質異形成

4.神経細胞移動異常症

5.視床下部過誤腫症候群


第6章 神経皮膚症候群におけるてんかん

1.総論

2.結節性硬化症

3.スタージ・ウェーバー症候群


第7章 代謝異常症によるてんかん

1.総論

2.ミトコンドリア病

3.グルコーストランスポーター1(GLUT1)欠損症

4.ビタミンB6依存性てんかん


第8章 遺伝子/染色体異常によるてんかん症候群

1.総論

2.KCNQ2関連症候群

3.PCDH19関連症候群

4.CDKL5関連症候群

5.アンジェルマン症候群

6.レット症候群

7.環状20番染色体症候群


第9章 腫瘍/腫瘍性病変によるてんかん

1.総論


第10章 感染性/免疫介在性てんかん

1.総論

2.ラスムッセン脳炎(ラスムッセン症候群)

3.自己免疫介在性脳炎・脳症

4.難治頻回部分発作重積型急性脳炎

5.けいれん重積型(二相性)急性脳症


第11章 小児慢性特定疾病と指定難病

1.小児慢性特定疾病と指定難病

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