経済的な豊かさを増し成熟した現代社会は、政治、経済、社会などあらゆる領域で転換期を迎えています。特に、平成の30年間はさまざまなサービスで消費者のニーズが多様化し、より細やかでスピーディーな質の高いサービスが要求されるようになりました。
医療の世界でも、患者さんによる医療サービスに対する査定が始まっています。
競争はサービスを競い合って内容をよくするメリットもある一方で、過重労働が起こりやすい医療の現場では医療者の疲弊という問題がしばしば指摘されるようになりました。
このように医師を取り巻く環境は厳しくなっている中で、それを和らげるのが人間関係のクッションである「コミュニケーション」です。
(「はじめに」より抜粋)
はじめに 現代の日本社会が求める新しい医師の姿
第1章 診察10分間の構成を考えよう
1 診察過程の区分と意味づけを意識する
2 人の印象は30秒で決まる
3 質問とコメントで対話を発展させる
4 情報やメッセージを伝達する
5 雑談は人間らしい温かさを伝える
6 締めくくりはポジティブな印象で
第2章 医師の「質問力」
情報を得るコミュニケーション術
1 対話は質問とコメントで発展する
2 患者さんが聞いてほしいことを質問する
3 患者さんの関心事を繰り返しつつ具体性に引き込む
4 話を聞きながらメモをとる
5 患者さんに行動変容を起こすピグマリオン効果
6 患者さんに寄り添いつつずらすテクニック
7 聞き上手になるコツ
8 患者さんの承認欲求を満たす
9 共感を伝えるテクニック
10 医師としての「質問力」を自己評価する
第3章 医師の「伝達力」
情報を伝えるコミュニケーション術
1 医療情報の差が大きい場合の伝達手段
2 患者さんの理解力に合わせた情報の絞り込み
3 患者さんの理解度を推し量る方法
4 情報の要点をメモして患者さんに渡す
5 3回繰り返すとメッセージが定着する
6 医師の話をわかりやすく伝える
第4章 医師の「雑談力」
心を通わせるコミュニケーション術
1 雑談は短く
2 雑談をして一対nから一対一へ
3 人生のエピソードを患者さんに話す
4 個人ー個人としての間柄でも信頼を得る
第5章 医師としてのコミュニケーションの型
1 プロフェッショナルに磨きをかける
2 医師としてのコミュニケーションの型を習慣に
3 声の印象をコントロールする
4 表情の印象をコントロールする
5 コミュニケーション方法を他者に評価してもらう
6 気持ちが乱れたら
おわりに 齋藤 孝が医師に伝えたいメッセージ