GNEミオパチーの病態解明に関する研究は,当初いくつかの疑問点から始まった.GNE遺伝子は主に肝臓で強く発現し,骨格筋では非常に低い発現レベルであるため,なぜこの遺伝子の変異が筋疾患を引き起こすのか,その機序は長らく不明であった.

GNE遺伝子がコードする蛋白質は,シアル酸合成経路において重要な役割を果たす.この蛋白質はGNE活性とMNK活性という2つの酵素活性をもち,シアル酸合成の鍵となる酵素として機能する.哺乳類においてシアル酸合成経路は唯一であるため,GNE遺伝子の変異はシアル酸合成の低下に繋がる1)(図).