History 筋ジストロフィー医療発展の歴史
筋ジストロフィーの治療研究の歴史(4)
―筋ジストロフィーに対する筋幹細胞移植治療―
掲載誌
MD Frontier
Vol.2 No.1 52-56,
2022
著者名
武田 伸一
/
鈴木 友子
/
竹村 英子
記事体裁
連載
/
抄録
疾患領域
神経疾患
/
小児疾患
診療科目
神経内科
/
小児科
媒体
MD Frontier
Key Words
骨格筋,筋ジストロフィー,細胞移植治療,筋衛星細胞,iPS細胞,ジストロフィン,筋再生
骨格筋には筋衛星細胞(muscle satellite cells)と呼ばれる組織幹細胞があり,骨格筋が損傷・壊死すると増殖し,損傷した筋線維と融合し,筋線維を再生する.筋組織中の間葉系前駆細胞や炎症性細胞も筋再生に重要な役割を果たしているが,筋線維に分化できるのは筋衛星細胞のみである.デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)をはじめ筋変性・壊死を特徴とする筋ジストロフィーでは,骨格筋の壊死・再生が繰り返され,筋衛星細胞の再生能力が次第に失われていく.そこで正常なジストロフィンを発現し,高い再生能をもつ筋衛星細胞を外から補充する細胞移植治療法の研究が約30年前から続けられてきた.本稿では,DMDに対する細胞移植治療研究の歴史を振り返るとともに,今後の研究の方向性も考察してみたい.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。