連載 涙が出る料理
第13回 わさび丼
掲載誌
Frontiers in Dry Eye
Vol.17 No.2 20-21,
2022
著者名
小島 隆司
記事体裁
抄録
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連載
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コラム
疾患領域
眼疾患
診療科目
眼科
媒体
Frontiers in Dry Eye
私は辛いものが苦手で,そのときは何とか食べることができても,翌日お腹の調子が悪くなることがほとんどですので,辛さを増すことができるカレーなども,普通かもしくは少し甘口にして食べています。
そんな私ですが,唯一お腹も大丈夫で大好きな辛味は“わさび”です。お寿司やお刺身,お蕎麦には欠かせません。また,私の地元の名古屋では白焼きという鰻の素焼きをよく食べますが,それがまたわさびととても合うんです。
わさびはアブラナ科の植物で日本の固有種ですが,歴史上最も古く登場するのは聖徳太子の飛鳥時代に遡ります。「委佐俾三升(わさびさんしょう)」と書かれた木簡が奈良県明日香村で発見されており,これはわさびを保管した容器にくくりつけられていたのではないかといわれています。わさびの起源を研究している岐阜大学応用生物科学部の山根京子先生によると,近縁の中国の植物シャンユサイのDNAを調べたところ,わさびは500万年前にシャンユサイから分かれたものであること,また面白いことにシャンユサイは全く辛くなく,辛味成分は日本国内で独自に進化して獲得されたものであることがわかっているそうです。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。