ウイルスよもやま話
新型コロナウイルスの懸念される変異株の出現
掲載誌
インフルエンザ
Vol.23 No.1 65-69,
2022
著者名
渡辺 登喜子
記事体裁
連載
/
抄録
疾患領域
呼吸器
/
感染症
診療科目
一般内科
/
呼吸器内科
媒体
インフルエンザ
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックはいまだに収束の兆しが見えません.2021年12月23日現在の世界保健機関(WHO)の発表によると,世界におけるCOVID-19の累計感染者数は2億7,643万6,619人であり,死者数は537万4,744人にのぼっています.日本では2021年の夏にCOVID-19の第5波が起き,4回目の緊急事態宣言が出されましたが,8月末にピークを迎えた後,感染者数は激減しました(図1).2021年12月24日時点で,国内における累計感染者数は173万905人,死者数は18,386人と報告されています.
現在200カ国以上の国においてCOVID-19ワクチンの接種が行われています(図2).2021年12月22日現在のWHOの報告によると,世界全体の累計接種回数は86億回を超えており,なかでも,中国とインドにおける接種回数は突出して多くなっています.免疫を獲得するのに必要な回数のワクチン接種を受けた人の割合を見ると,アラブ首長国連邦において90.68%であり,ほぼすべての国民がワクチン接種を完了したことになります.他にも,シンガポール(87.00%),チリ(85.86%),中国(83.60%),韓国(82.81%),スペイン(81.00%)などの国において,全国民の80%以上が必要な接種を終えています.他の先進諸国と比べて,日本におけるワクチン接種のスタートは遅れていましたが,2021年の夏頃から急ピッチでワクチン接種が進められており,2021年12月28日時点で,累計接種回数が1億9,959万回となり,総人口の77.9%である9,866万人が2回の接種を完了しています.
国内外におけるワクチン接種率の上昇が,パンデミック収束につながることが期待されていますが,免疫を逃避する能力などを有する変異株の出現が問題となっています.今回のよもやま話では,SARS-CoV-2の“懸念される変異株”の出現の経緯について概説します.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。